DRAGON DRONES

プロドローンインストラクターが綴る本気のドローン情報

ドローンで初の逮捕者 外国人観光客の書類送検も増加

令和元年は国賓が多く訪れる年です。
6月にはG20も大阪で開催、ラグビーワールドカップも開催され、2020年には東京でスポーツの祭典最高峰のサマーゲームも開催されます。華やかな元年にふさわしいイベントが目白押しです。
一方、私たちドローンのプロの間では、いくつか心配だった事象が現実として起こっています。
小型無人機(ドローン)を都内の公園で飛行させた男が、航空法違反と偽造有印私文書行使の疑いで逮捕されました。(2019.5.27)
ドローンでは初の逮捕者です。
また、警視庁の発表では今年に入って、外国人観光客を含む8人を書類送検しています。

東京だけで、月平均1人以上の書類送検です。

なぜドローンで書類送検が増えるのか?

ドローンにあまりなじみのない方々からは、何故ドローンの事件が増えているのかは分かりにくいかと思います。
このままの法整備や規制では事件の増加は避けられないいくつかの理由が存在します。
この理由を考えてみたいと思います。

理由1 誰でも手に入り飛ばせる

都心部の家電量販店に行くと、ドローンコーナーが設置され、大手メーカーから無名のものまですぐに購入できます。
コントローラーもスマホで代用が効くものもあり、バッテリーの充電さえ済ませてしまえば、どこでも飛行させることができます。
年齢制限や言葉が理解できなくともドローンを飛ばすことはとても簡単にできてしまいます。

理由2 法規制はあるが一般人は知らない

2015年12月10日、ドローンを規制する為に航空法が改正されました。
また、小型無人機等飛行禁止法も施行されます。
ドローンはその重さや飛行方法によって「無人航空機」として法で定義がされています。
あまり細かくは解説しませんが、飛行エリアや禁止区域、飛行可能条件など細かく規定され、専門の知識がないと許可などが得られない場合が多いです。
東京都23区内で、許可・承認を必要としないエリアはほとんど存在しません。
総重量199グラム以下の、無人航空機の定義から外れたドローンでも都立公園では飛行が禁止されています。
こういった法律は、道路交通法のように周知されていないため、身近に専門知識のある人間がいない限り調べて全てを把握することは非常に難しいです。

理由3 免許がない

自動車を運転するのに必要な免許証は当然のことながら無くてはならないものです。
自動車を運転する=免許が必要。国で定められているからです。
ドローンを操縦して飛行させる=免許は必要でない。
非常に残念ですが、ドローンの飛行には国が発行する免許の存在はなく、法的には定められていません。

理由4 規制区域内でも飛行できる

国賓が訪れた際には、地域や期間でドローンの飛行規制がされています。
小型無人機等飛行禁止法で年に数回は飛行禁止区域が発令されます。
しかしながら、私たちが使用しているDJIというドローンメーカー以外の機体では、その飛行禁止区域や期間でも、普段と変わらず飛行することが可能なのです。
DJIでは航空法や小型無人機等飛行禁止法で定められた飛行禁止区域でモーターのスイッチを入れようとしてもモーターが回転しないように設定されています。

何が必要なのか?

このように、現状の法規制や制度ではドローンを違法な状態の中で飛行させることができてしまいます。
では何が必要になるのでしょうか?

免許制度の導入

自動車をはじめとする乗り物には免許証が必要です。
ドローンも同じように、国などの公の機関が発行する免許証が必要になります。
免許が無ければ飛行できない。
よく考えると当然の事だと思います。

機体検査制度

現在飛行可能なドローンには、残念ながら車検のような機体検査制度がありません。
メーカー問わず、基本的な構造や安全性の規定を定めた検査制度の確立が望まれます。

 

今後、ドローンによる事故や事件が起こらないよう、国として制度の確立を早急にしてほしいと切に願います。