DRAGON DRONES

プロドローンインストラクターが綴る本気のドローン情報

プログラミング教育から覚えるドローン飛行 DRONE STAR Academy 受講

ドローンと小学校教育

2020年度、小学校の学習指導要領の改訂がされ、プログラミング教育が必修化されます。
プログラミング教育というと、パソコンに向かいプログラム言語を学ぶように感じますが、実際は「プログラミング思考力(論理的に考える力)」を学ぶ授業が行われると言われています。
新たに授業を新設するのではなく、図画工作や社会科などの授業にプログラミング教育を導入して目的となるプログラミング思考を育てていくようです。
では、何故ドローンの専門である僕が小学校の授業について書いているのかを不思議に思うかもしれませんが、実はドローンを使用したプログラム教育のパッケージがリリースされると聞き、第一期のアカデミーに参加したのでブログにまとめました。

 

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DRONE STAR プログラミング講習を受講しました



目次

プログラム飛行が増えていく

現在業務利用のドローンコントロールは、手動操縦からプログラム飛行へと移行しています。最新のドローンシステムでは、農薬散布、測量、建物検査などでは飛行全体の90%以上がプログラム飛行によって賄えるほどにまでなっています。
言い換えると、プログラム飛行の要素を理解していないと業務ドローンを十分に活用できない時代が目の前にまで迫っているのです。
そういったドローンの現状と将来の日本を担う小学生のプログラミング教育が10年後のドローン業務を盛り上げていくと思うのです。

プログラミング飛行を容易に行えるツールが必要

今までもDJIから公開されているSDKツールによりドローンの制御アプリなどは開発できますが、システム開発が出来るエンジニア向けのものなので、コンピューター開発言語を駆使できない一般のエンジニアなどは手が付けられない状況でした。
また、国内ではプログラム飛行のパターンを開発できても、飛行エリアの少なさから飛行させてからのフィードバックまでに時間を要してしまいます。
簡単に言うと、簡単に飛ばせない環境下で開発をせざるを得ないのです。

telloというトイドローン

ドローン関係者なら知っているRyzetechのtelloはトイドローンでありながらプログラム飛行に対応しています。
海外ではDroneBlocksなどのスマホアプリで、子供達が思い描いた飛行を簡単にプログラムして飛行させています。
残念ながら英語を理解できないと言うだけで楽しめないのが日本の現状でした。

DRONE STAR プログラミングの登場

日本でもtelloをプログラム飛行できるアプリの登場が望まれていたこのタイミングにDRONE STARプログラミングが大幅な改変を伴ったアップデートがされました。
今回のアップデートではプログラミング飛行に必要な飛行だけではなく、telloが持つ機能の殆どを利用できる命令も含まれていて、正直驚きました。
このアプリを使ったプログラミング教育は小学生にはかなり受けがいいと直感しました。

DRONE STAR Academy

DRONE STARを使ったプログラミング教育のためのカリキュラムを最初からオリジナルで組み立てるのは容易ではありません。
指導要領に則ったプログラミング教育をドローンと組み合わせたカリキュラムを2日間で学ぶ講座が「DRONE STAR Academy」です。
ドローンを活用したプログラミング教育の講師になるためには最適な講座だと言えるでしょう。

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新設されたDRONE STAR ラウンジは落ち着いた配色で講習会には最適な空間



ドローンの基礎から学べる

航空法や関連法規、ドローンの特性などは、専門家ではない方からはとても難しく、どのように飛ばせばよいのか判断もできないと思います。
ドローンのタイプや国内における飛行の規制などをしっかり学べます。

操縦体験もできる。

使用する機体は2つ。
DRONE STARとtelloです。
DRONE STARは小型ながら専用コントローラーでよりリニアな操縦が体験できます。
telloの操縦はスマートホンアプリで行う為、若干タイムラグが生じますが慣れてしまうと意外と簡単に操縦が出来るようになるので、屋内でも手軽に飛ばせます。(*安全に配慮が必要です)
どちらのトイドローンも対象年齢が15歳以上なので、15歳未満の子供に教える際には保護者や監督者の指導の下で使用します。
前後左右の動きやホバリングなど飛行中の基本的な操作方法を学びます。
改めて気付いたのですが、モード2で覚えてもらうと右手のスティック操作で前後左右を覚えられるのは初心者にとって効果的でした。

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飛行体験は新鮮でした



ドローンプログラミングの実践

さて、今回の講習会の主役でもあるドローンプログラミングです。
予めDRONE STAR プログラミングをiPadにインストールしておきます。
DRONE STAR プログラミングには入門編でプログラミングの基礎を覚え、応用編でドローンの細かな動きを設定できるようになっていて、低学年の小学生には入門編のみ、高学年や中高生には応用編を主に体験させるといいようです。
入門編では、動物の動きをドローンで表現するという課題がすでにアプリ内に用意されていて機械が苦手なタイプの人でも入り込みやすくなっています。
応用編では、ドローンの様々な動きだけでなく「写真撮影」や「動画撮影ON/OFF」などの機能の命令、速度や高度の設定まで行える飛行コマンドが用意されています。
それら飛行コマンドを制御するために繰り返しや、コンピュータプログラミングではよくつかわれる条件式や条件分岐も用意されているので、ドローンの飛行をより複雑に制御できます。
さらに注目すべきは、演算子や変数、ブロックまでも用意され、子供達だけではなく大人が虜(とりこ)になってしまうほどの出来栄えです。
条件式や演算子などの使い方が分からなくとも画面上の「説明を見る」をタップすれば、その使い方と例が表示され理解を深めるのに役立ちます。

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DRONE STAR プログラミングはとても簡単で使いやすい。



ドローン+プログラミング模擬授業

上述のような課程を受講者それぞれが模擬授業によって体験できます。
人それぞれの解釈で授業の進行を考えたり、グループ討議で考えを共有できるので自分の考えだけではなく様々な考えを共有できるので、結果として自分の考えの幅が広がる点は優れています。

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模擬授業ではカードを使って想像力を養います



義務教育だけの展開では終わらせない

普段、僕の講習会ではドローン測量や写真測量技術による三次元モデルの生成、JUIDAカリキュラムの授業などを行っていますが、このDRONE STAR プログラミングを使用した講座を広めることで業務ドローンの運用が大きく広がると感じました。
特にドローンによる三次元計測では計測実習が大切ですが東京都内では実習の場が遠く天候にも左右されます。
講習会場でDRONE STAR プログラミングで計測プログラムを作成し、telloで計測を行えば効率的に講習の成果を上げられると確信しました。
信じられないかもしれませんがtelloでも三次元計測の実習は行えるのです。

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修了証を無事頂きました