DRAGON DRONES

プロドローンインストラクターが綴る本気のドローン情報

RTK農薬散布ドローン XAIRCRAFT 

農業を変えるドローンの役割

2018年。様々な業界でドローンが実作業レベルにまで活躍し始めた年でした。
そして、ワークフローを変革し作業効率を飛躍的に向上させた仕事も出てきました。
その中でも、農業では農薬散布のハードをラジコン操作によるヘリコプターからドローンへ転換が始まった年でもありました。
RCヘリコプターは操縦が難しく、メンテナンス性も決して良いとは言えない道具でした。特に農薬散布におけるRCヘリコプターは低空で農作物の上空を飛行するため、少しの操作ミスが機体ばかりでなく農作物にまで被害を及ぼしかねませんでした。
ドローンの特性はIMUと呼ばれる機体の安定化ユニットやGPS(GNSS)による位置情報で飛行航路やホバリングなどの精度を機械に頼ることで、操作の支援を強力に行えます。
結果的にマニュアル操縦もRCヘリコプターに比較にならないほど容易になり、自動航行までも実現できるようになりました。

ドローン農薬散布がもたらした農家の満足度向上

RCヘリによる農薬散布の実施日は実に約三カ月前に決まっています。
前日の天候や散布時間帯などは農家側では決定しにくい仕組みです。
ドローンによる農薬散布は、比較的農家の方々が日程などを決めやすいので、依頼して散布までが簡単になったようです。
また、ドローン農薬散布の特徴として、ドリフト(対象作物以外に農薬が飛散すること)の範囲がRCヘリコプターより少なく、隣接圃場への配慮も容易に行えます。
さらに、段取り時間や農薬の積替えやバッテリー交換が簡単で速いので、長時間散布時のペイロードの少なさや航続距離の短さを補っています。

RTK農薬散布ドローンで劇的に変わる

ドローンによる農薬散布で最も恩恵を受けたのは散布する方々ではないでしょうか?
段取り時間、農薬散布量の把握、作業後の洗浄などRCヘリコプターに比べれば作業時間が激減しました。
では、農家の方々にとってのドローン農薬散布は日にちや時間帯による拘束が無くなっただけで、実際の作業コストなどはあまり変わらないように思えます。
しかし、先日デモフライトを見学してきたRTK農薬散布ドローンは農家の方々にとって多くの利益をもたらす可能性が秘めていることに気付きました。
RTK(リアルタイムキネマティック)とは位置情報をより正確に把握するため、基地局と言うあらかじめ正確な位置情報を地上に設置されたポイントから、正確な位置情報を得るための地球規模での仕組みです。
今までは、主に測量のために使われていた仕組みですが、ドローンに搭載することで飛行中の位置情報がセンチメートル級の誤差範囲で把握でき、より高精度な飛行が可能となっています。
そのRTKを農薬散布ドローンに搭載することで、人と同等かそれ以上の高精度で農薬を散布することが可能となったのです。
言い換えると、同じ圃場の中でも場所によって農薬の散布量を増減させることが容易に行えます。(あらかじめ飛行プログラムで設定を行います)
この散布方法で、全体の収穫高を保ちながら農薬使用量を減らすことも可能ですし、害虫駆除も散布範囲の最適化が行える可能性も秘めています。
さらに、急傾斜地の農地でも自動航行による農薬散布が行えるので、マニュアル操作のドローンよりも安全で正確に作業が行るようになるでしょう。
結果的に収穫高が増え更に農薬使用量も減るので数年後には、ドローン農薬散布で収穫された野菜や果実が高額で取引される可能性さえあるのです。

実際のRTK農薬散布

簡単な動画を撮ってきましたので実際の飛行をご覧ください。

http:// https://youtu.be/F4O5m-2dkhs