DRAGON DRONES

プロドローンインストラクターが綴る本気のドローン情報

ドローン空中写真測量 3【ドローンの役割と機種】

ドローンの役割と機種

空中写真測量ではドローンは欠かせないアイテムです。
150m未満の低空域で空中写真測量を行う際、ドローンが選ばれ、RCヘリやRC気球、ヘリウム風船などでは代用できないのでしょうか?

空中写真測量に求められる航空機の条件

低空域での写真測量に求められる重要な素材は写真データです。
上空から撮影した写真でも土地の計測に適した条件を満たしていないと、基準に合った測定結果は得られません。
写真測量に適した写真撮影が可能なドローンの条件を確認します。

1.ドローンの役割

様々な機能を持ったデバイスを装着できるドローンですが、空中写真測量におけるドローンの役割は飛行はもちろんですが、同一高度での飛行や装着されたカメラの水平度を一定に保てる機構によって測量に適した写真撮影を行うための道具です。

2.ドローンの基本性能と機能

ドローンは10gから10kgの重量を超すようなものまでありますが、市販されているものでも安定した飛行が出来るドローンを選択しないと空中写真測量は行えません。ドローン測量において必要な機能は以下の通りです。

安定したホバリング
人によるマニュアル操作を行わないでホバリングが出来る性能。
ドローン測量における操縦士に求められる技量ではGPSや各安定化のためのセンサーを使用しなくともホバリングが行えないと困りますが、測量用の撮影は高度を維持したままの飛行が行えないと、測量用データとしては使用できません。
ドローン自体のホバリング性能が優れている機体を選びましょう。

一定速度での航行
GPSや安定化のためのセンサーが備わった機体でも、一定速度での航行が行えないと測量写真の撮影が困難になります。ほんの数年前ではこの機能がない機体で写真測量撮影を行えるように、マニュアル操作で安定したエレベーター操作(前進操作)のトレーニングをしていましたが、現在では一定速度の航行が可能な機能があるためトレーニング期間が大幅に短縮されました。

カメラジンバル
ジンバルとは人間や機体がブレてもカメラを意図した方向のまま安定させる機能を備えた装置です。
DJI製品のマルチコプターにはこの機構が標準で備わっていますが、他のメーカーなどを選定する際にはジンバル性能をしっかりと確認しましょう。

カメラチルト機能
測量用の写真は上空から垂直下の撮影が求められます。垂直下の写真は実体視に欠かせないのです。上述のカメラジンバルが備わっていても、レンズの方向を垂直下に向けられるチルト機構が備わっていないと空中写真測量は出来ません。

計測自動航行
一定速度での航行は写真測量において重要な機能ですが、この機能だけで写真測量の撮影を行おうとすると、60%(80%)重複した写真撮影を実現させるためにメトロノームなどを使用したマニュアルインターバル撮影を行わなければなりません。
一般的なインターバル撮影は0.5秒以下の設定ができないため、航行速度が制限されてしまいます。
DJI GS PROのような計測専用のアプリを用いた飛行では、ラップ率指定で自動航路の作成が行え、撮影間隔も自動で設定されます。
オリジナルドローンで計測を行う際はDJI GS PRO やライチなどのアプリでのコントロールが可能な設計が求められます。

フェールセーフ機能
空中写真測量用に限定した機能ではありませんが、フェールセーフ機能は重要です。
飛行前に計測範囲の空域を確認しますが、万が一ドローンが建造物などに衝突しないためにも、衝突防止装置は必要です。さらにバッテリー残量が少なくなった時のアラートや自動着陸、コントローラーの電波が途絶えたとき等の自動帰還機能など、安全を確保できる機能が備わっていないと業務機体としては選択できないでしょう。

2.推奨機体

ドローン測量において初めての1台はこれだ
DJI MAVIC2PRO
センサーサイズが1インチ、また絞り機構が備わっているため小型でも空中写真測量に適した機体です。

ドローン操作も慣れている方には
DJI Inspire2+X5S
センサーサイズ4/3インチ(マイクロフォーサーズ)カメラでより高空からの撮影を実現します。

赤外線センサーカメラと同時撮影
MATRIS200シリーズ
通常の写真測量に付加価値情報として赤外線センサーによる撮影を行う場合はデュアルカメラでの撮影を行います。赤外線情報を付加した計測など今後はニーズが高まると思います。