DRAGON DRONES

プロドローンインストラクターが綴る本気のドローン情報

MavicPro2はドローン測量に適しているか?

ついにDJIより待望のMavicPro後継機種Mavic2シリーズが発表されました。
今回はPROとZoomの2モデルの展開です。
測量撮影から見るMavic2PRO
このブログではセンサーサイズが大型化されたMavic2PROに限定してドローン測量に適しているかをスペックから読み取り検証していきます。
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Mavic2PROでは何が変わったのか?
空中写真測量に影響のあるスペックを抽出します。 
センサーサイズが1インチ、有効画素数が2000万画素に大型化された。
ドローンを使用した測量の基本はご存知の通り写真測量です。
カメラ性能の中でもセンサーサイズによって測量の精度に影響を及ぼします。
国土地理院が公開している「UAVを用いた公共測量マニュアル」ではセンサーサイズに関わらず1画素に写る被写体のサイズを規定しています。
このことから有効画素数とセンサーサイズ、レンズ焦点距離によって撮影効率が変わってくるのです。
そのためドローンが搭載しているカメラの性能(センサーサイズと画素数、焦点距離)によって測量撮影の限界高度が決まります。*限界高度はレンズ説明で表記しています。
限界高度が高くなることのメリット
・測定範囲の許容高低差が大きくなる
測量する範囲は必ずしも平たんではありません。山岳地帯などでは急傾斜地を含んだ測量もあります。
急傾斜地で注意すべき点はピントと画素寸法です。*詳しくはレンズの項で説明しています。
そのため、許容できる高低差が大きいほど測量に向いているカメラとなるわけです。
 
メカニカル絞り機構が搭載された
絞り機構が搭載されたことで遂にMavicシリーズでも精巧な空中写真測量が可能となりました。
もちろん現行のMavicProでも写真測量が行えないわけではありませんが、絞りの変更ができない分限られた条件での測量に限定されていました。
絞り機構が搭載されたことによるメリット
・被写界深度の調整が可能
・明るさの調整ができる
写真測量にとって重要なのは被写界深度です。
一般的な撮影で好まれる背景ボケ。中心となる被写体を際立たせる撮影テクニックとして多くの方が使われますが、写真測量においてボケはご法度です。
測量範囲の凹凸や建物などすべてにピントが合っている状態を理想とします。
そのためには絞り設定のf値を大きくしてピントの合う距離を広げる必要があるのです。
Mavic2PROでは絞り機構が搭載されたので、f値を上げて被写界深度を深くできるために段差のある測定対象物にも焦点が合いやすくなるため、後工程で使用するSfmツールでもより精度が高まると思います。
明るさの調整も重要です。
より高精細な写真を残すためにISO100を基準に撮影を行いますが、上空からの撮影は概ね明るすぎる条件が多いです。現行MavicではNDフィルターでの調整を行うしかありませんでしたが、絞り機構のおかげで容易に適切な明るさに変更できるようになりました。
また今後オプションとしてNDやCPフィルターが出ると思うので、絞り調整の限界も考慮してフィルター類も揃えておく必要があるでしょう。
 
レンズは28㎜(35mm判換算)相当
1インチセンサーサイズのDJIマルチコプターと言えばPhantom4Proです。
Mavic2PROになり同じサイズのセンサーを採用されたことで測量撮影に使用できるようになりましたが、レンズはPhantomと比較して優劣はあるのでしょうか?
センサーサイズ、有効画素数ともMavic2Pro、Phantom4PROは変わりありません。
レンズの焦点距離に違いがあるのです。
Phantomの焦点距離は24mm(35mm判換算)
Mavic2PROの焦点距離は28mm(35mm判換算)
若干ですがMavic2PROの方が視野角が狭まります。
この違い、空中写真測量では大きな差となるのです。
センサーサイズ、画素数、焦点距離の条件によって地上画素寸法が決定されます。
 
地上画素寸法1cmでの限界高度(1画素当たりに写る大きさをセンチメートルで表示)
Phantom4PRO 36.7m
Mavic2PRO    43.0m
 
地上画素寸法2cmでの限界高度
Phantom4PRO 73.4m
Mavic2PRO    85.9m
実に約15%も限界高度が異なってくるのです。
実務においては限界高度で飛行させることはありませんが、急傾斜地など高低差のある測量範囲などでは最低画素寸法を確保した撮影飛行が行いやすくなるのです。
 
障害物検知システムが全方向に対応しかも高精度
今までのMavicでは前方のみの障害物検知でしたが、MavicPro2の検知システムは完ぺきと言えるほどの障害物検知システムに仕上がっています。

前後にデュアルビジョンシステム
前方検知は今まで通りのデュアルビジョンシステムです。(検知範囲20m~40m、時速50.4kmまで)同じくシステムを後方にも配置しています。(検知範囲16m~32m、時速43.2kmまで)
 
下方検知はより高精度に
下方検知は前後方と同じデュアルビジョンシステム(11m~22m)に加え赤外線検知システム(8mまで)を採用することで、より精度を高めています。
現行モデルのMavicProの高精度着陸の正確さも驚きましたが、より正確な着陸を低照度下でも実現させるために底部に補助ライトまで備えているのです。
 
上位機種のみだった上方検知の装備
Inspire2で採用された上方の赤外線センサーによる検知システムをMavicPro2にも採用されています。
 
興味深い左右検知システム
シングルビジョンシステムという検知システムの仕組みは明らかにされていませんが、おそらく画像の輪郭を認知して輪郭の大きさの変化による測距を行っているのではないかと思います。
 
APASでマニュアル操縦も安心
APASとは高度操縦支援システムと言い、マニュアル飛行においても前後方の障害物を検知し避けながら飛行できる安心の機能です。
障害物検知システムによって、万が一測量範囲の障害物を見落としてしまってもより安心感が持てる期待に仕上がっています。
 
ダイナミックレンジが10bitにアップグレード
余談ですが、測量撮影を行うとき施主様から測量範囲や隣接している建物の上空からの俯瞰動画の「ついで撮影」を依頼される場合があります。Mavic2PROのカラーモードがDlog-Mで10bitとなった為、編集時のカラーグレーディングなどより微細な調整が出来るようになりました。このため施主様にも動画で喜んでいただけるかもしれません。

MavicPROに比べ134グラムほど重くなりましたが、今までPhantom4を使っていた方がMavic2PROに買い替えるとその取り回しの良さに驚くことでしょう。
測量撮影でもアクティブで過酷な地域に行く撮影でもMavic2PROはより高精度な写真や動画を記録できるので「即買い」アイテムとしてお勧めいたします。

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