DRAGON DRONES

プロドローンインストラクターが綴る本気のドローン情報

ドローン測量に欠かせない DJI GS PROの最新操作方法 測量編1 ラップ率と画素寸法

もうすでにUAV測量は土木、測量では当たり前の手法となりました。
UAV測量(ドローン測量)で最も使われているアプリ「DJI GS PRO」の最新機能を数回に分けて解説いたします。

DJI GS PROでできる機能
1.フォトマップ
2.バーチャルフェンス
3.計測撮影領域モード
4.計測撮影建物モード(有償)
5.ウェイポイント飛行経路指定


今回は計測撮影を徹底解説

計測撮影領域モードとは測量用の撮影で使用します。
GS PROのようなラップ撮影が自動で出来なかったころのドローン測量はマニュアルでドローンを飛行させ、おおよその位置でホバリングして撮影して次の撮影ポイントにマニュアルで移動させていました。
今と比較して撮影時間を要し、経験も重要な時代でした。(とはいえ数年前)
現在ではGS PROの計測撮影機能を使用することでラップ撮影など公共測量で規定されている内容に従った設定が簡単に行えます。
UAV測量は国土地理院が発行している「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」(以下マニュアル)を基準にして行われます。
その中で、地上測量従事者の方々でも戸惑う内容をGS PROの設定解説に合わせて行います。

A. 地上高



ドローンで地上高というと150m未満高さと思いがちですが、UAV測量では別の制約によって高度が決まります。

縮尺(地図情報レベル)による地上高


空中写真測量として撮影するには欠かせないのは精度です。
デジタル写真による空中写真測量では、精度をどの基準で設けているかというと、画素当たりの撮影できる寸法を用いています。

地図情報レベル  地上画素寸法


250       0.02m 以内
500       0.03m 以内

三次元点群の精度による地上高


空中写真測量では作成する三次元点群の位置精度によって、1画素当たりに写る寸法が規定されています。
位置精度   地上画素寸法
0.05m 以内  0.01m 以内
0.10m 以内  0.02m 以内
0.20m 以内  0.03m 以内


DJI GS PROでの設定方法


GS PROではこの地上画素を確認しながら高度設定ができるのが非常に役立ちます。
Phantom3では地上高50mでの撮影は上述の規定から外れてしまっているのがわかります。

 


地上高50mだと1画素当たり2.2cmとなりマニュアルの地図情報レベル250の画素寸法から外れてしまいます。

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Phantom3では50mで2.2cmの画素寸法となる



同じ高度でもZenmuse X5S 15mm(フォーサーズ)にカメラを変更すると・・・

X5S 15mmレンズを使用すると画素寸法が1.1cmとなる

X5S 15mmレンズを使用すると画素寸法が1.1cmとなる

カメラ(機体)を変更すれば、1画素当たり1.1cmとなりマニュアルの地図情報レベル250の画素寸法レベル内に収まります。さらに三次元点群の位置精度0.10m以内にも収まります。さらに高度を47.7m以下に抑えると、位置精度0.05m以内に収められます。

B. 写真のオーバーラップ率


空中写真測量における写真は、隣接した写真と写っている画像が重なっている必要があります。この重なっている比率をオーバーラップ率(略してラップ率)と呼んでいます。
オーバーラップ率も簡単に設定できる
経路上、経路間のオーバーラップ率は経路上80%以上、経路間60%以上と定められています。(航空写真測量を知っているとびっくりするオーバーラップ率ですが・・・)
こちらも詳細タブから簡単に設定が行えます。

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DJI GS PROでのオーバーラップ率設定は簡単

設定を行いながらリアルタイムで航路も確認できるので隣接地域に建物がある場合でもコースアングルの変更を行って安全な運航を実現できます。

計測範囲の高低差が著しい場合
計測範囲の高度差がある場合では、この画素寸法に収まらない範囲が含まれてしまいます。特に山間部での測量では注意が必要です。
その場合は、計測範囲を複数に分割、もしくは最も計測範囲内で標高が最も低い場所から計測を開始するなどしてください。精度管理を行う上では計測範囲の分割で対応しましょう。

UAV測量におすすめ Inspire2

次回は「測量にはホバリング撮影?それとも止まらずに撮影? 撮影設定を行う」をお送りします。