飛ばせる場所とそうでない場所の規制
改正航空法は大きく分けて「空域」と「飛行方法」の二つが規制されています。
この記事では空域について詳しく説明しています。
空域規制は3つ(図は国土交通省HPより抜粋)
1.空港等の周辺(進入表面)
空港では当然のことながら航空機が往来しています。離着陸などを妨害してしまう可能性のあるエリアを飛行禁止になっています。
空港周辺をさらに細かく見ていきましょう。
A 空港等の周辺の空域の詳細
空港等の周辺はその空港によって制限空域がちがう
空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面、転移表面もしくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面もしくは外側水平表面の上空の空域。
例えば進入表面は着陸帯の終点より2%勾配かつ距離3,000mまた標点より高さ60mとなっています。
標点とは、各飛行場に設置されている、着陸帯の幾何学的な重心の位置情報です。着陸帯が飛行場によって異なるため一概に場所を特定できません。
以下の図は秋田空港の制限表面図です(出典:秋田県公式Webサイト)
この進入表面下であればドローンを飛行することが可能な場合があります。
飛行ができるかどうかは、各空港事務所長の許可が必要となりますので、まずは空港事務所に相談しましょう。
また空港だけではなくヘリポートも同様に規制されています。
PC上で確認するには国土地理院が公開している地図が便利です。
地理院地図(空港等の周辺の空域)
空港事務所長の許可を得るには無人航空機の飛行申請が必要
制限空域の飛行許可の申請をするには下記の条件を満たしていればどなたでも申請が可能です。
・飛行実績が10時間以上(訓練の場合はマニュアルに準じた飛行訓練実績を含む)
・飛行方法に準じた飛行訓練マニュアルを作成して、訓練をしている
・飛行させるドローンに保険を掛けている
B地上高150m以上の高さの空域
地上高150m以上でドローンを飛行させることを規制されています。
ドローンが飛行している垂直下までの高さという点です。
注意すべきは標高ではなくドローンが飛行している垂直下までの高さという点です。
高さ150m未満とはどのようなことなのか、もう少し詳しく見てみましょう。
ドローンが図1のA地点(高度140m)をホバリングしている場合、地上からの高度は150m未満なので許可の必要はありません。
ドローンがB地点に水平移動すると標高が10m下がっているのでドローンの地上高は150mに達してしまい飛行許可を必要とします。
B地点に移動する前にドローンの高度を1m以上下げれば問題ありませんが、現実的には誤差程度の高度を差し引いておくとよいでしょう。
実際の撮影などで起こりえる状況ですので、地形図などを参考にして撮影計画を立てましょう。
*地上高説明図
3.人口集中地区の上空
人が密集している人口集中地区では飛行が規制されています。
では人口集中地区とはどのように定められているのでしょうか?
人口集中地区の指定は5年に一度行われる国勢調査の結果に基づいて、1平方kmあたり4,000人の人口がいる地区です。現在は平成27年の国勢調査の結果が反映されています。
規制されている空域が見えるアプリ
空港等はヘリポートなども含まれているので容易に判断することができません。
実際、私たちプロパイロットがフライト前に指定地域が飛行可能かどうかを見極めるのに便利なアプリを使っています。
・do飛行チェック(無料アプリ)
特徴は人口集中地区や空港周辺などの範囲が色表示されていて、飛行の可否判断が容易に行える点です。
残念ながら、空港ごとの進入表面などの表示がされていないので、今後の改善に期待したいところです。
do飛行チェックアプリはスマートフォン用です。
詳しくはこちら
・ドローンフライトナビ(無料アプリ)
do飛行チェックと同じように飛行禁止エリアなどが色分けされていて、視認性の高い表示です。さらに空港の進入表面が表示されているので飛行前の机上確認にもとても役立っています。
特筆すべきは航空法規制だけではなく、もう一つの法律「小型無人機等飛行禁止法」に基づいた飛行禁止エリアも表示されます。こちらの法律は首相官邸などの重要施設周辺だけではなく、国賓などの重要な人物が訪日する際、訪問先周辺も飛行禁止となるためその期間中だけ飛行禁止エリアも変化します。
期間中の禁止エリアに対応しているのは、このアプリだけです。