DRAGON DRONES

プロドローンインストラクターが綴る本気のドローン情報

ドローンパイロットはドローン測量パイロットになれるのか?

ドローンをキーに様々な産業の変革がされています。
測量業界にも大きな変革の波が訪れています。
ドローン測量と言うと、新たな測量手段と考えられがちですが、実は測量としては古くから利用されている手法なのです。

空中写真測量の歴史は古い

現在でも空から測量が行われています。古くは19世紀から写真による地図の作成が行われており、写真測量としては1921年には写真測量機器メーカーが設立され1923年には航空機搭載型の写真測量機が発売されています。
写真測量では撮影後に現像された写真を実体視を応用した図化機によって地図化の基本を制作します。日本では通称「A8(エーハチ)」と呼ばれているオートグラフA8精密図化機が1950年台に普及しました。
ドローン測量の基本は、航空機に搭載されたカメラによって撮影された写真を使用して地形図などを作成する手法と全く同じと言っていいでしょう。

ドローンパイロットがUAV空中写真測量に求められるもの

すべての測量士の方々が空中写真測量に精通しているのかと言うと、ほとんどの測量士は空中写真測量の実務を経験したことはありません。
一部、写真に写りこむ「対空標識」の設置などはありますが、実際セスナなどの航空機に搭乗して写真を撮ったり、写真を基に図化機を回して図面を作成している方は稀です。大手航空測量会社やその協力会社に属している測量士でも実作業を行っている測量士は少ないのです。
では、ドローンパイロットに求められる空中写真測量の技術とはどのようなものなのでしょうか。

測量向きな撮影技

一般的なドローン撮影と測量用の写真撮影は大きく異なります。
基本的にカメラを真下にして撮影しますが、木や建物の影などが入ったり、雑草などが光を反射していると、その部分のみ測れなくなってしまい測量写真としてはNGです。更に写真自体にフレアが入っていたら担当者が怒ってしまっても仕方がないでしょう。ピントはきっちり合わせて、被写界深度も撮影範囲内をカバーできるF値に設定する必要があります。NDやCPフィルターを活用して白飛びや反射を防ぐ必要もあります。
空中写真測量の撮影には芸術性より写実性が求められるのです。

特別な操縦技術はいらない

安全に十分配慮することは前提ですが、立体的なノーズインサークルなどの操縦技術は全く必要ありません。地上と空域の障害物を把握して効率的で再現性の高い飛行が求められます。離着陸や緊急時のマニュアル操縦以外はあらかじめ設定したプログラム飛行での航行が基本です。マニュアルのみで写真測量用の飛行を行うと自動航行の十数倍時間が掛かるでしょう。写真測量では写真同士の重なる率(ラップ率)が80%以上(航路間では60%)必要となるので、マニュアル飛行はかえって難しくなってしまいます。


アプリの使用方法は熟知しておく

DJIから無料で提供されている「DJI GS PRO」などを使用して空中写真測量用の写真撮影は行われます。安全を担保できる操縦士を前提とすれば、アプリを熟知しているパイロットが一番重宝されると思います。

測量範囲の高低差には注意

UAV空中写真測量では搭載カメラシステムのCCDセンサーサイズや画素数、レンズの焦点距離によって限界高度が算出されます。測量予定地に高低差がある際は限界高度の範囲内に収まらない場所もあります。その際には測量範囲を分割して航行する必要が生じます。

実は測量士も空中写真測量は詳しくない

一般的な測量士の方々は地上測量を主とした実務がほとんどです。
空中写真測量の実務はドローン測量になってから必要になってきています。そのため上述のような写真測量に適した撮影設定や高度差の考慮、測量できない部分などの知識はこれから補完する方々が大半なのです。

ドローンパイロットに求められる技術は

ドローンパイロットがUAV測量を行う際には、写真撮影の知識、アプリ、高低差など測量知識を捉えつつ撮影に反映できる応用力が求められています。
これから増え続けるドローン測量、早めの知識補完が必要となります。